Q10: 親、上司が先生がおっしゃるとおりに分かってくれません。「ストレスなくなれば、治療しなくても良い」のではと、心ないことを言われます。どうすれば分かっていただけるでしょうか。

 

A10: あなたに不妊治療を受けるだけの医学的理由がある場合、不妊治療を受けることはあなたの権利として選択して良いことです。仕事上の必要から上司に治療することに理解してもらわないといけないのであれば、「不妊は身体的な問題であることが医学的にはっきりしていて、気のもちようとかリラックスすれば妊娠するということではないとされていますので、私にとっては不妊治療を受けることが子どもを授かるために必要なのです」と伝えてもよいでしょう。自分でいうのが難しければ、医師に「不妊治療による加療が必要である」診断書を書いてもらってもよいのです(もちろん本来そこまでする必要のないことですが、医師の診断書はかなりの説得力をもちます)。

 

 親の場合は、あなたのことを思うがゆえの無理解ということもあり得ますし、関係を切るわけにもいきませんので、「私は医学的に治療する必要があるから治療を受けているの。だからお母さん(お父さん)には私の選択を応援してもらえるととてもうれしいな」と言ってみてはどうでしょうか。また、「私のことを心配して言ってくれているのかもしれなけれど、そのように言われることは私にとっては理解してもらえていないようでつらいの。心配してくれている気持ちはわかっているから、今は私が治療することを静かに見守っていてくれることが私にとって一番ストレスが少なくなることなの」と言ってもよいでしょう。

 

 

Q11: 不妊治療中ですが、久しぶりに会う親戚や友人に、子どもは?と聞かれ、変な空気にならず、うまく切り抜けるには、どういう言い方がありますか。

  

A11: 「まだいないよ」とさらっと言えれば、一番変な空気にはならないでしょう。それができればいいですが、あなたが「子どもは?」と訊かれることに動揺するようであれば、相手もそれを察してどうしても気まずくなるのではないでしょうか。しかしながら、あいさつのようにされる「子どもは?」という質問が不妊で悩んでいる人にとっては刃のように突き刺さるわけですから、無理に取り繕わず、それが不妊の人を傷つける質問であることを伝えることがあってもよいのかもしれません。あと、久しぶりに会う親戚や友人なのであれば、あなたの人生にはそれほど重要な人というわけではないのだと思います。そういう人との関係に思い悩んでエネルギーを使うよりも、もっと身近なパートナーや家族との関係にエネルギーを注ぎましょう。変な空気になったところで、「別にまた1年会わないんだから」と開き直ってしまうのも一つです。

 

Q12: 友人が妊娠した時に、気持ちが不安定になりがちで自分が嫌になったことがあります。人は人と、割り切るためにできるトレーニングはありますか?

  

A12: 専門家によるカウンセリングを受けるのもその一つだと思います。最近では、自分の物事の捉え方のクセに気づき、自分を苦しめる受け取り方を変えていこうとする「認知行動療法」や、“いま”への気づきを向けることで過去の後悔や未来の不安を和らげ、あるがままの自分をそのまま受け止めていく態度を身につける「マインドフルネス」などが注目されており、自分で学べる書籍や教材も増えています。「こころのスキルアップ・トレーニング(http://www.cbtjp.net/)」などがわかりやすいでしょう。