Q1: 不妊治療(体外受精)を2年続けてきましたが、子どもを授かることが出来ず、今後どうしたらいいか悩んでいます。治療以外の選択肢も含めて、子どもを持つことを相談する場がなく困っているのですが、もしご存知でしたら教えてください。

 

A1:「子どもを持つことを相談する場」というのがどのような場なのかを意味するのかわからないのですが、この杉並区のように相談の機会を設けている自治体もありますし、PICAFineのように当事者支援団体も活動しています。たしかに医療機関では「治療以外の選択肢」を話すのが難しいこともあります。そのような場合には、医療機関の外の方が話しやすいかもしれません。私たちのような心理カウンセラーが不妊治療施設に勤務している場合、その施設に通っていない方でもカウンセリングだけ利用できる場合があります(私もです)ので、「生殖心理カウンセラー」で探していただきHPなどで利用可能かご確認ください。

 

 

Q2: 不妊治療しても、子どもが授からないうちに一般的な生殖年齢ではない年齢、すなわち治療の限界を迎えてしまった時。生殖物語は、書き足さなければなりませんが、その時にどのように、どのような視点で書けばよいか、教えていただけますか?

 

A2: 生殖物語は「あなたの視点」で綴られるものです。「自分の生殖物語を知る」のは“こうなるはずだった”物語を再確認するためであり、それが叶わなくなったいまの自分と向き合うための一つの方法です。生殖物語の書き換えは、実際に何か文章を書くというよりは(もちろん文章に綴ることも気持ちの整理につながり意味があることです)、まさにいかに生きていくかを考えるということです。当初の物語とは違ってしまっても幸せな物語と感じられるのはどのような物語なのか、考え続けることなのではないでしょうか。

 

 

 

Q3: 治療の段階が夫婦で違う時、話し合いが大切と分かりましたが、どうやって話し合いをまとめ、2人の意見を一致させたらいいのでしょうか。正解のない治療なので、難しく感じます。

 

A3:「話し合う」とよく言いますが、たいていは自分の意見を言うだけで、相手の話を聞いてはいません。相手が自分の意見に従うのが正しいと考えがちだからです。互いが自分の意見の正しさを主張することになってしまうのです。「絶対的な正しさ」はないということを二人が共有すること、相手には相手の思いや考えがあることを前提とできるかが問われます。相手の言い分に同意できなくても、「どうして相手がそのように考えるのか」が理解できると、話し合いの余地が出てきます。相手の話を聞けることが話し合いの第一歩です。